最頻出熟語リスト

スペイン語のよく使う熟語リストを作成しました。以下のリンクからダウンロード可能です (22/09/16 修正)。

以下で、リストの使い方や、念頭に入れておくとよいポイントを述べます。

熟語とは

外国語のレベルを高めるためにはボキャブラリーの拡張は必須です。この点に異論のある人はいないでしょう。そして、多くの人は「語彙力=単語の量」と考えているのではないでしょうか。

もちろん間違いではありません。しかし、スペイン語の単語を片っ端から覚えていけば、いつかは流暢にスペイン語を使えるようになるか、と問われれば、多分そうはならない。と本職なら回答します。

そう考える根拠の一つが熟語の存在です。熟語とは、噛み砕いていえば、「一語として機能する複数の語の集まり」です。例えば、英語の in front of は熟語です。下のように例文を並べてみるとわかりやすいでしょう。

He is in front of the bank.

He is at the bank.

He is in the bank.

確かに、in front of は三語でできているという点では at, in とは異なりますが、いずれも、He と the bank の位置関係を表しています。つまり、三語で一つの前置詞として機能しているわけです。どんな言葉にもこうした熟語が山ほどあり、重要な役割を担っています。

熟語は大事、ということは教員も学生も漠然と思っていたことでしょうが、昨今の言語学、外国語学の研究により、多分、我々がなんとなく感じているよりもはるかに頻繁に、母語話者は熟語を使っていることが明らかになっています。その結果、今日の両方の研究領域において、「一つの語として機能する複数の語の塊=定型表現」はとてもアツい研究テーマです。

タイムリーなことに、最近、「英語は決まり文句が8割 今日から役立つ「定型表現」学習法 」という新書が発売されました。定型表現の重要性、学習方がわかりやすく書かれています。新書なので、言語学の知識がなくても読めます。オススメ。

熟語リストと使い方

そんな熟語が思ったより大事だった、という流れで、本職が頑張って作ったのがこの最頻出熟語リストです。名前の通り、スペイン語の熟語をよく使う順にリストアップしたものです。

作り方は後日、論文で発表するので関心がある方はそちらでお願いします。どうしても手動で、根気よく分析しなければならないことが多く、当初の予想よりもかなり大変な作業でした……

その熟語リストですが、現状、以下の六項目からなります。

  • 熟語: そのまま。スペイン語の熟語です。
  • 品詞: in front of が実質的には前置詞に相当するように、熟語にも品詞があります。例えば、el que については「代名詞」とありますが、これは「el que は代名詞相当」という意味だと思ってください。
  • 意味: 英語で熟語の意味を付記してあります。
  • 使用頻度: 私の使用したコーパス(≒データベース)における予想使用頻度です。「予想」なのはコーパスからある熟語の正確な使用頻度を抽出するのが不可能で、少数サンプルから予想するしかないためです。詳しくは論文で。
  • 使用頻度レベル: 「スペイン語の最頻 X 単語と同程度の使用頻度」という意味です。例えば、el que は -50 ですが、これは「スペイン語で最もよく使う 50 の単語と同じくらいの頻度で使われます」と読みます。このリストには 5000 語レベルの熟語を網羅しました。DELE だと大体 A1 で 1000 語、A2 で 1500、B1 で 3000、B2 で5000 語レベルと予想されますので、まあ、B2 レベルくらいまでお付き合いいただけるかなと。
  • 例文: 難しかったら DeepL先生に相談してみてください。

また、使いやすさを考え、エクセルで作成してあります。こういう単語帳的な物って、自分であれこれ書き込む、自分で育てていくことが大事だと思うので、エクセルで作成した次第です。気づいたことや、疑問、実際にご自身で出会った例文などをどんどん書きこんでいき、大きく育ててやってください。