本サイトでも告知しましたが、昨年末に大人気カオス&デンジャーグルメリポートコミック、
『鍋に弾丸を受けながら』の原作者、青木潤太郎先生を九大にお招きして
ブラジルやメキシコ、創作についてご講演をいただきました。

そしてなんと、今月更新された最新エピソードにおいて、この講演会の模様や
九大生諸君の愛してやまない学食のあの定食が描かれるという光栄に浴しました。
本職に至っては作中に登場までさせていただくという僥倖。
ファンとして、これ以上に嬉しいことがあるでしょうか。

そんな九大編の第 26 話は現在無料で公開中。逃してはならぬチャンスでしょう。
コミックスだといずれ、五巻に収録される感じでしょうか。
本職は観賞用と永久保存用で二冊は買う心算。
https://comic.webnewtype.com/contents/nabetama/260/

「何故 T 原が茶髪美女になっているのか」
「『私たちはどんな美少女に見えているのですか』とはどのような意味か?」

といった疑問を持った人は同様に無料公開中の一話をどうぞ。
というかいい機会なので、既刊を全部買っちゃえばよろしいかと。
食べること、旅をすること、異文化を尋ねること、人間、等々。色んなことが描かれた名作です。
https://comic.webnewtype.com/contents/nabetama/

夢中になれることを持とう

講演は
「ある人間の精神を手っ取り早く壊すにはその人の創作物を否定するなり無視するのが一番(要約)」
等々、漫画と同様、「おおっ」となるお話がたくさん飛び出し大変興味深かったのですが、
とりわけ語り継いでいきたいのが、「夢中になれるものがあるとよい」というお話でした。

もともとこの講演は、「九大で外国語を学ぶみなさんへ」というテーマだったので、
そこに関連してのお話です。
夢中になれるものがあると、そこを起点に人間関係も経験も広がっていく、ということです。
青木先生の場合であれば、釣りなわけですが、釣りを愛し、外国でも釣りをしてみたり、
釣り人のコミュニティに飛び込んでみることで得難い経験をしたり、漫画にも描かれている
素敵な人々の出会いがあったとのこと。

本学は「いかなる環境下でも、そこにいる人と尊重しあえる人材の育成」を教育方針としており、
学生のみなさまにはスパルタンな修業に励んでもらっているわけですが、
まあ、それでも簡単ではないですよね、
言葉も文化も違う背景の人たちと人間関係を築くのは。

ところが、言葉や文化が違っても、夢中の対象が同じ人間とは容易く分かり合える、
ということが多々あります。本当に拍子抜けするくらい簡単に。
本職にも色々覚えがあります。

本学の学生の皆さんの中には留学する人も多いでしょうし、そもそも文系も理系も、
今時の研究は国境を跨いだスケールで展開されます。
専門から離れて、一市民として生活する中でも背景の異なる人たちとの出会いも多くあることでしょう。
そんな異文化との遭遇をなんとなく予感しつつ、自分の夢中を育てたり、
その魅力をスペイン語なり英語なりで表現できるようにしておくというのは、
なかなかオツな修業なのではないかなあ、と思う次第。

マドリードにて

さらによくよく思い出してみたら、合計で三年ほどいた本職のスペイン滞在でも、
とりわけ忘れがたいのは野球を通じて出会った人たちでした。

博論の目途が全く立っていない 27 歳だった十余年前、
本職はマドリードの草野球チームで白球を追いかけていました。
何故そんな(社会・学問的に)カオス&デンジャーなことになっていたのかは
長くなるので省略しますが、ともかく野球に夢中でした。
そして、まあ、得難い経験を多くしたなと。
その起点になった野球というスポーツには感謝してもしきれません。

また、野球は友人と経験だけでなく、五万点の味にも本職を導いてくれました。
野球をした後にしょっちゅうみんなでビールを飲みに行った居酒屋 Casa Pepe の手羽先の唐揚げです。

「スペインでは飲み物を頼むと無料で何かしらの食べ物を出してくれる居酒屋が結構ある」
というのは授業などでもお話している通りですが、こちらのお店もそのタイプのお店です。
そういう無料おつまみというのは本当にオマケ程度のものであることも多々あるのですが、
こちらは揚げたての手羽先の唐揚げを出してくれるのです。美味かったなあ。

野球をした後のビールと手羽先なんて美味しいに決まっているのですが、
それ以上のものがあった気がしてなりません。

社会的、学問的に生き残るか死ぬかの瀬戸際に呑気に野球をしているという背徳感。
全体的にコワモテ多めの客層。
運動後の脱水状態。
尋常じゃなくよく効いている塩。

この辺りの色んな意味で危険な要素が隠し味になっていたのだろうか。
「危険なところで食べるものは 20 点か五万点」
というのは『鍋に弾丸』の基本ルールですが、これもまた真理だよなあ、と思います。

By qsupe

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です