今から 17~15 年前、本職が二十歳前後だった頃。日本はパンクロックブームでありました。今も昔もチーズ牛丼が大好きそうな風貌をした本職ですが、このブームには結構積極的に乗っかってよくこのジャンルの音楽を聴いていました。
そんな折、アルバロ君というスペイン人青年に知り合いました。彼はスペインのパンクロックを心の底から愛しており、私にスペインのパンクロックバンドや名曲を教えてくれたり、お気に入りの曲をCD に焼いて贈呈してくれたりしました。ところで今の学生諸君って 「CD を焼く」なんてことをしたことあるのでしょうか……自作コンピレーション CD を意中の人に唐突にプレゼントして気味悪がられるという経験は是非していただきたいものです。
そんなアルバロ先生がオススメしてくれたバンドの中でも特に私の心をつかんだのは Boikot というバンドでした。スペイン人のバンドなのに k という文字を使うあたりにパンクさを感じてください。

「Boikot は違う……なんというかこう……哀愁があるんだ……」
若かりし日の本職はそんな風なことを言っていたといいます。そしてほどなくしてその哀愁は以下の二点に起因することを知ります。
- 彼らは哀愁音楽の本場、バルカン音楽の大ファンで作品の背景になっていること
- とりわけ、バルカン音楽の巨匠、Goran Bregovic の曲をカバーすることが多いこと
まあ、ともかく、Boikot のパンクロックとバルカン音楽の融合という世界観のファンだったわけです。
そして時は流れ、2021 年。ベテランの領域に入った Boikot が新しくアルバムを出すこと、それがこれまでの楽曲をよりバルカンテイストに、アコースティック縛りでカバーするというものであることを知り、まあたまげました。前置きが長くなりましたが、全曲、公式 youtube ↓で聴けますのでぜひぜひ聴いてみてください。
元の曲がいずれも名曲なので、バルカンアコースティックバージョンも素晴らしかったです。先述の Bregovic 先生がオリジナル、わが国ではチャラン・ポ・ランタンもカバーした Skalashinikov (原曲は Kalashinikov)、スペインドラマ最大のヒット作、La casa de papel で知名度が爆上がりした Bella ciao 、若かりし日の本職がヘビロテで聴いていた Amaneció も入っています。
その中でも個人的白眉 1 が Inés。小さな女の子目線で戦争、内戦のろくでもなさを歌った名曲です。実際に小さなぷくぷくした女の子がゲストで参加しており、最後のドヤ顔ガッツポーズが最高にキュートでいい。良すぎて上級生向けの授業では教材にしました。
個人的白眉 2 は Bubamara。南スラブ諸語で「てんとう虫」という意味です。こちらも Bregovic 先生がオリジナル。
50 を過ぎても音楽への情熱と愛着を全く失う気配のないBoikot、応援し続けたいものです。