スペイン語ファンが紅白歌合戦よりも楽しみにしているイベント。それが Fundéu という団体の主催する Palabra del año 2021。「2021 年の語」まあ、ようはスペイン版流行語大賞ですな。

先ほど、この賞を受賞した語が発表されました。あらかじめ、12 の候補が発表されていたのですが、大方の予想通り、

Vacuna ‘ワクチン’

が大賞(?)でした。昨年の confinamiento ‘ロックダウン’に引き続き、「まあ、そりゃそうなるんだろうが……」という結果です。二年前の los emojis ‘絵文字’ が大賞を獲った時のようなポップ感が恋しい……

嘆いていてもしかたないので今年を象徴する 12 の語をを振り返りながらボキャビルを試みましょう。

Vacuna ‘ワクチン’

これ自体は古くからある言葉なのですが、コロナ禍の影響で、この語を基にした新語が多数生まれたということが Fundéu によって指摘されています。例えば vacunódromo ‘ワクチン接種会場’。Vacuna に「~する場所」を表す語尾(造語要素という)-dromo を付加してできた語です。たまたま本職、今年書いた論文で「最近 -dromoがアツい」、みたいなことを書いたのですが、この辺りの事実がこの記述を支えてくれることでしょう。スペイン語ファン的にはオミクロンの行方同様、-dromo の用いられ方がどうなっていくのかも見守っていきたい所存。また、カリブ海のスペイン語 guagua ‘バス’と vacuna を併せた vacuguagua ‘ワクチン接種巡回バス’も味わい深い。

Cámper ‘キャンピングカー’

本職の友人の原君もコロナ禍に入ってからキャンプガチ勢となりました。このキャンプブームはスペインでも盛り上がりをみせ、英語の camper van からの借用語 Cámper が今年の賞の候補になりました。「キャンプをする人」という意味にもならないこともないようですが、基本的にはキャンピングカーを意味する語であることに注意。

Carbononeutralidad ‘カーボンニュートラリティ’

今年の環境保全における最重要用語ではなかろうか。温室効果ガスの排出と吸収をトントンにしよう、という目標の事ですな。守ろう、地球。

Criptomoneda ‘仮想通過’

こちらも説明不要でしょう。「暗号」を意味する造語要素 cripto- と「通貨」の moneda による複合語です。cripto- は今後数年で爆発的に新語を生み出す予感。

Desabastecimiento ‘供給不足’

世界的な半導体不足を受けてこちらもこの賞の候補に。ロードバイクファン的には自転車のパーツの世界的な desabastecimiento にずっと眩暈がした一年でした。メーカーによっては支払から納車まで一年以上かかったりするそうな。ちなみに、メキシコでは desabasto という形で用いられるそうな。意味は同じようなので、この二つの語の行方も見守りたい。それぞれ地域ごとに残るのか。それともどちらかがどちらかに吸収されるのか……

Ecoansiedad ‘環境問題心配性’

環境問題があまりにも深刻過ぎて、それを心配するあまり精神を病んでしまうことを指す語です。一応、英語にも eco-anxiety という言葉があり英辞郎先生はこれを「環境問題心配性」と訳していました。なんか他に定訳がありそうな気もしますが。まぁ、しかし、「地球が持たん時が来ているのだ」を地で行ってしまっていますね、最近。

Fajana ‘ファハナ?’

アフリカ沖に浮かぶスペインに属する島々、カナリア諸島で大規模な火山の噴火があったことは普段からニュースを見ている人ならご存知でしょう。3.11 の際に日本人が急速に原発、原子力用語に馴染んだのと同じように、この災害はスペイン人が火山用語、カナリア諸島特有の地質学用語に馴染むという結果を招きました。Fajana もその一つで、「火山の噴火とその噴出物によって新たに生じた土地」ということだそうです。スペイン語そのもののファンとしてこの語に興味をそそられるのは、このご時世であるのにもかかわらず、語源不明であるという点です。現地の方言が基になっているというのはそうなんでしょうが、じゃあ、その方言はどこから来たのか……

Megavaito ‘メガワット’

今年、コロナ、火山に加え、スペイン人を悩ませたのが電気料金の高騰でした。その結果、大きな規模での電力について論じる際の基本単位、メガワットがこの賞の候補になりました。

Metaverso ‘メタバース’

技術方面からはこちらが入賞。Meta- と universo (universe、とにかく広い空間) を併せた語。VR とかの仮想空間全般を指します。日本ではあまりなじみのない言葉な気もしますが、今後、VR 関連の技術、サービスもまた広がっていくことでしょう。それにつれて、この語も広く使われるようになるのだろうな。ちなみに本職、今年の M1は「ゆにばーす」が一番よかったと思いました。

Negacionista ‘否認主義者’

歴史上、どう考えても事実なことを「そんな事実はない」と言い張る主義者のことを否認主義者といいます。Wiki 先生によるとこの語はもともとナチス関連の文脈で用いられることが多かったとのことですが、コロナ否認主義者が悪目立ちしすぎたこともあってか今年の賞の候補に。「コロナなんか存在しない!政府の陰謀!」みたいな人たちね。

Talibán ‘タリバン’

説明不要でしょう。

Variante ‘変種、今年的には変異株’

こちらも説明不要でしょう。来年こそはスペインに行こうと思っていたのですが、来年になる前から暗雲が……

以上です。去年も思いましたが、ちょっと不景気すぎますね……

「浮かれポンチ」

みたいな言葉が大賞を獲る。来年がそんな一年になりますように……

By qsupe

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