特にラーメンなどでもそうですが、センスのある人が伝統を尊重しつつ自分の思うがままに作っている飲食店、結果的に「新世代の」みたいな枕詞のつくお店っていいですよね。
食に保守的なスペインでも年々こうした「センスあるシェフ大暴れ系のお店」の存在感は増しているように思います。繁盛しているこうした新しめのお店はまず外しませんし、大抵おおいに感動して帰途につくことになります。マドリードだと La Malontina (旧 La Tragantúa)とかね: https://www.instagram.com/lamalontina/?hl=ja
そんなわけで、本職、この博多の地においても、「あーあ、きっちりスペイン料理しつつ、シェフのセンスがきらりと光るモダンなスペイン料理のお店ないかなあ」みたいなことをしょっちゅう考えているわけですが、あったんです綱場町の路地裏に。それが Farol。

こちら、レストランというよりはバルで、小皿に盛られた料理をあれこれ食べるというタイプのお店です。バルの食事メニューをタパスといいますが、定番のタパスはほぼ網羅されています。スペインバル入門にぴったりなお店でしょう。また、ワンコイン以下のタパスも非常に多いのも嬉しい。
頼んだものすべて美味しかったのですが、特に心に残ったのは Tortilla de patatas でしょうか。これは定番中の定番ですが、一味違うのでした。
Tortilla de patatas, 要は、じゃがいも入りのオムレツです。伝統的な作り方だとむしろ卵よりもじゃがいもが主役で、みしっとした食感の一品。かなり食べ応えがあるので、これ一切れ食べるだけでも結構おなかにたまります。

そして Farol の Tortilla de patatas は↓

シェフのセンスがさく裂していることがお判りでしょうか。二種類のトマトが載せられており、目にも味変的にも楽しいわけですが、特筆すべきはその食感。フワトロなのです。割った写真を撮らなかったのはミスとしか言えない。
確かに、スペインでもフワトロ系の Tortilla は既に定着しているのですが、Farol のもののフワトロ具合は群を抜いていました。というのもなんと、このオムレツ、割ってもじゃがいもが視認できないのです。
「じゃがいも入れずに卵だけで作ればそらフワトロするわな」
とも思うのですが、確かにジャガイモの味はばっちりする……なんて不思議な一皿なのか。
酔った勢いでシェフにどういうことなのか質問してみたところ、「マリネにしたジャガイモをマッシュポテトにしてオムレツにしている」とこともなげに教えていただきました。いやもうなんというか、Tortilla 作るのにそこまで手間をかけるのか、と感動通り越して自分を責めましたね、本職。おい本職、お前もそのくらい手間のかかった授業してるのかい?と。
この Tortilla 以外にもほんと、何食べても美味しかったな。同じく定番の Gazpacho も手間とセンスが光ってましたし、

タコとトマトのトーストもよかった。このお店のトマトソースは本当に素晴らしいので、トマト攻めで行くのがいいのかしらね。

塩漬け豚のとんかつ風というの素晴らしく美味しかった。塩漬けにしたことで肉の味が濃い。また、この極小パン粉もスペイン的でよかった(知人のスペイン人は初めて日本でとんかつ食べた時、パン粉の大きさに驚いていた)。

以上。こんな感じで Farol, 定番を抑えつつも、そのいずれにも二手間、三手間かけられている名店です。膨大なメニューの中から食べるものを厳選する楽しさがこのお店にはありますな。期末テスト明けなどにどうぞ。