飲み食いに関してはサンセバスティアンよりもビルバオの方がいくらか満足度が高い。そんな印象である。ビルバオは世界的な観光地というわけではないので、本職の好きな、地元の人たちの食生活をのぞき見できる感覚を強く味わえるのがよい。値段もビルバオの方が安め。そして、これは完全な二泊しかしていない人間の印象だが、ビルバオはテーマのはっきりしたお店が多く、ハシゴのしがいがある。
例えば、初日ににぎわっているのでふらっと入ってみた El globo というバルはグラタン(スペイン語では gratinado という)の専門店といった風で、薄く切ったバゲットの上にグラタンを載せたものを常時複数種類、カウンターに並べるというスタイルのお店であった。イカ墨グラタンとカニ味噌グラタンというのをいただいたが、白ワインの親友という感じの味わいで美味しかった。



ヌエバ広場にある Antxoa Taberna というお店も専門性が高い。Antxoa (スペイン語で anchoa) はアンチョビのことで、そのまま、アンチョビの専門店である。スペイン北部はアンチョビの一大生産地であり、様々なアンチョビを取り揃えている。クラフトアンチョビバルみたいな。例のド定番ピンチョスの Gilda もアンチョビが美味しい分、ここのが一番おいしかったし、アンチョビソースのミニバーガー、アンチョビのコロッケなんてのもよかった。





また、こちらもヌエバ広場であるが、Sorgínzulo というバルは大変良かった。良すぎて同じ広場内に二店構えてるし、良すぎて同じ日に昼も夜も行ってしまった。


定番系も創作系も、美味しい物なら何でもやるというスタイルだが、白眉は Txuleta (骨付き牛肉のステーキ)であろう。先述の通り、これはハレの日にレストランで食べるような料理なのであるが、ここではミニサイズ、お手軽価格で頂けるという。日本でいうと、居酒屋ですき焼きを一人前、1000 円くらいでいただける、みたいなうれしさであろうか。三日前、Tolosa でステーキを食べて以来、「もっとステーキ食いてえ」状態にあったので、とてもありがたかった。




他にもいろいろ美味しいものをいただいたが、キリがないのでこれくらいにしておく。毎回、海外からの帰国前は「楽しかったが早く帰ってごぼてんうどん食べたい」みたいなテンションになるのが常であったが、今回ばかりは「自分まだピンチョス巡りいけます!」という感じの、後ろ髪をひかれるような帰国となった。