このサイトでも何度か書いた気がするが、本職、深夜特急とか珍夜特急といった若干無頼の風味のある旅行記が大好物で、さらに根がどこまでも影響の受けやすいタチにできている。そのため、大学生のころはタフな貧乏バックパッカーを気取っており、旅行中はそれっぽい振る舞いをすることに心血を注いだものである。旅行中に入る飲食店を選ぶ時も、このバックパッカーぶりっ子は遺憾なく発揮され、地元の人たちでにぎわっているちょっと汚い感じの食堂こそが至高であり、観光客が行列し、英語メニュー完備している小奇麗な観光客向けの店は避けるだけでなく馬鹿にしていた。婚前、今の配偶者とタイを旅していた際、かの国に上陸してたかだか二日目なのにもかかわらず、配偶者が「暑いしバーガーキングにでも行ってワッパーしばこうや」等と言い出した時は厳しく注意をした。当然、配偶者は激怒し、あわや破局というところまでいったこともあった。

さすがに30手前くらいからは丸くなり、「観光客向けだろうが値段が妥当でおいしかったらいいじゃない」という路線に落ち着いた。以前のマドリード旅行記などにも書いたが、スペインには観光客向けかつ安くておいしい店というのは結構ある。というか、スペインにおける小汚い店は料理もアレなことが多い。

さて、そんな「昔は俺もとがってたな(笑)」おじさんに堕した本職が、渡西前から頭を悩ませていたのが、サンセバスティアンで Bar Sport に行くかどうかという問題である。

Bar Sport とはサンセバスティアンの旧市街でも特に観光客密度の高い Fermin Calbeton Kalea 通りにある超のつく有名店である。「サンセバスティアン 飲み歩き」のような検索でヒットする動画や記事では確実に取り上げられるメジャー中のメジャーである。詳しく調べると、値段は別に観光地価格というわけではないし、確かにピンチョスは美味しそうである。しかしながら、尋常じゃなく混み、かつ、日本人多すぎて風情皆無といった情報も目につき悩んでいたわけである。丸くなったとはいえ、いまだにバックパッカーぶりっ子気質もあるにはあるので「日本のバスツアーとご一緒みたいな展開になったら泣くかもな」という気持ちも依然としてあるのである。

しかしながら、そこまで人々、特に日本人を熱狂させるこの店の実力がやはり気になり、足を運ぶこととした。

土曜の昼というのはあるにせよ、やはり、Sport は大混雑なのであった。

満員電車大国で磨いてきた、手刀に半笑いというスタイルで店の中に潜り込み、なんとかカウンターの空きスペースを確保する(↓はChat GPT に「半笑い、手刀、人込みをかき分けるおじさん」というだけの指定で描かせたものであるが、妙に本職に似ていて大変落ち込んでいる)。

そんな死闘の末、ありつけたのが以下のピンチョスである。

ウニのスープ: この店の名物その 1 にして、日本人ほいほい。皆さんおっしゃってるように、そんなにウニ感なし。

フォアグラのソテー: この店の名物その 2。大きめにカットしたものが二キレ、パンの上に載って 800 円くらい。これは確かに猛烈に美味しかった。焼き鳥のレバーをものすごくリッチにした感じ。

干し鱈と玉ねぎ、ピーマンの炒め物: 北大西洋沿岸部の街ではよく鱈を食べるのであるが、サンセバスティアンも例外でない。そして北部で食べる鱈は外さない。一回干しているので白身魚なのに味が濃く、ピーマンやオリーブオイルの風味に負けない。

ステーキ: ミニサイズのステーキというものが存在しているのも本当にうれしい。後述の通り、スペインバスクはステーキの強豪地域でありとても美味しい。

とまあ、こんな感じで、ハイクオリティな食べ物をカウンターで立ち食いするというのが面白いわけである。店の人たちも親切だし、混雑とかが嫌でなければ一度は時間をとって行ってみたらいいのではなかろうか。

そして後日。午前中の早い時間に Sport のあたりをうろうろしていたら、意外、結構すいているのである。なんとテーブル席すら空いており、入店。Sport おかわりとなる。

Pimientos de padrón: スペイン全土で食べられているおつまみの定番。しし唐のようなピーマンを素揚げにし、岩塩をかけただけのもの。シンプルだがものすごくビールによく合う。

イカのソテー: 鉄板で焼いたイカに強めのオリーブオイル、ニンニクのソースをかけたもの。午前中なのにビールのおかわりが飛び出す。

Carrilleras de ternera: 牛のほほ肉の赤ワイン煮込み。北部スペインの人たちが好む一品。大変柔らかく煮込まれており美味しかった。この店、朝早くからやってるし品数も多い中、いつこんな手間のかかる料理を仕込んでいるのやら。こういうものを食べるのに赤ワインを飲まないのも失礼なのでいただいた。

さすがに以上。天神とか大名に支店を出してくれないかなと願ってやまない。

By qsupe

One thought on “サンセバスティアン Bar Sport バックパッカーぶりっ子”

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