スペイン二日目。時差ボケもあり、朝四時に目を覚ます。不思議と眠くない。
顔を洗い、論文の締め切りやら学会発表やらの準備をする。
七時過ぎに El Brillante で朝食を摂り、二軒隣のスタバでまた作業を行う。
スタバでパソコンを開くのは多分これが人生で初めてのことなのだが、
確かに、出来るビジネスマン気分味わえてよいな、と思った。
エンターキーを押す指にもいらん力が入る。ターンッ、と。
ひと段落となったところで、レティ―ロ公園にジョギングに行く。
この Parque Retiro というのはマドリードにおける大濠公園みたいなものと思ってくれればよい。
スペインはカラッとしていて走りやすく、一万メートルのセカンドベストが出た。

早朝から仕事をし、さらに午前中の内に運動までこなす。何と言う充実感か。
日本に帰っても、そんな生活を続けよう……
などと、殊勝なことは特に考えず、消費カロリー 956k という部分に本職の目は釘付けになっていた。
こりゃ今日は好き勝手飲み食いできるな、と。
シャワーを浴びながら自問する。俺は今、真に何を食べたいのか……
そして気づいたら、La Bola の前にいた。Cocido madrileño、マドリード風シチューの名店である。

名前通り、これはマドリードの郷土料理。肉、腸詰、豆、根菜を煮込んだものである。
スープが主役であり、まずは激ウマいスープにショートパスタを浮かべたものを食べ、
しかる後に具材をいただく、というお料理。
味の決め手は tocino という豚の脂の生ハムで、コクと旨味がものすごい。
tocino や腸詰類の調達が難しいためか、日本で cocido を出す店を本職は未だに知らない。

最後に Cocido を食べたのはもう 10 年以上前だな……などと考えながら入店する。
今日は閉店まで予約でいっぱいだから、と追い返される。
そう、この日は日曜日。この名店中の名店に何故、予約なしで入れると思っていたのか……
時差ボケ、疲労のせいだったということにしておきたい。↑の写真は El periódico de España 様のものである。
仕方がないので、Google map でみつけた、近隣の cocido を出す店へ向かう。
Taberna Los Ángeles、名店のオーラが出ていた。


着席と同時に Cocido を注文する。すると気さくなお姉さん店員は告げた。
「Cocido はうち、秋からなのよね」
真夏でも普通におでんを食べる本職には言われたことの意味がわからなかった。
しかしまあ、着席してしまったことだし、ここで退散するのも無粋。
そんなわけで、同じくマドリードを代表する煮込み、Callos を注文する。
これはミノとかハチノスなどの脂の少ないホルモンを煮込んだ料理である。
冬寒く酒美味いマドリード、こういう煮込み料理が発達するのは必然だったのだろう。
Google map の評価が 4.3 もあるので、Callos も絶対美味しいのだろうと思ってたが、
やはり大変美味であった。

第一印象として、「モツのカットがでかすぎやしないか」というのがあったが、
恐ろしく柔らかく煮込まれており、杞憂であった。
さらに、こういう胃袋系のモツは下茹でが甘いと臭いし、下茹でしすぎると味が無くなるという難しさがあると思うが、その辺りも完璧で、臭みもなく、しっかり味もするという逸品ぶりであった。
思いもかけず新規開拓が成り、大満足、というところか。