スペイン二日目。
この日はスペインで修行していたころの
弟弟子カルロスとそのパートナーのカルメンさんと夕飯を食べにいくことになっていた。
事前にリクエストをきかれており、「モダンな感じの店に行きたい」と回答していた。
個人的な意見だが、スペインで本当に美味しいものを食べたければ、老舗系よりも、
内装も料理も今っぽい感じのお店に行くのが一番確率が高いと思っている。
さて、どんなところに連れて行ってくれるのか。
待ち合わせには La Dolores というバルを指定された。ここは老舗なので、
ここで一杯やってから本丸を攻めるという意向の様だった。

日本的には初手でビールをいただきたくなるところだが、
二人に合わせ、Vermut をいただく。
これはワインにハーブなどを漬け込んだもので、古くから食前酒の定番であるが、
近年、Vermut 2.0 みたいなノリで特にマドリードで人気が過熱しているという。
確かに、自家製 vermut あります、みたいな文句を色んな店先で目にした。
テンションが上がってしまい、写真を撮り忘れたので New York Times 様より写真を拝借。そもそも美味い、喉も開くし胃が元気になる、良い飲み物だと思う。

Vermut 飲みながらのおしゃべりを楽しみ本丸、SUA というレストランへ。
そうそう!こういう感じの所に来たかったのよ、となる。

ガラス製の冷蔵庫には巨大な熟成牛の塊がいくつも鎮座しており、
うちのステーキを食っていけ、という圧をひしひしと感じた。
ひとまずは、おつまみっぽいものをいくつか頼み、メインについてはそれから考えることに。
カンタブリアのアンチョビ
カツオのコンフィとトマトのサラダ

コロッケ

Boletus というキノコの炒めもの

これら全部、スペイン料理の定番であるが、モダンの店らしく
盛り付け、味付けに独自要素がふんだんに盛り込まれており悶絶した。
そしてメイン。店側のステーキ圧を無視し、「マグロのたたき 味噌ソースと共に」
という賭けに出る。
本職、マグロという魚とその寿司、刺身を心から愛している。
それだけに、もしスペインのマグロ料理が日本で食べるのと同じくらいの感動をもたらすなら
より、マグロやスペイン料理のことを好きになれるのではないか……
なんてことを考えたのである。

結局、スペイン料理とマグロへの愛を深める結果となった。
巨大なマグロの塊がでてきたわけだが、多分ここ、中トロである。
気前の良さに驚かされた。
火入れも完璧で、変色しているのは表面のほんの 2mm くらい
一方、中も中でほんのり温められているのか、脂が滴る感じがあった。
そして、この味噌のソースがまた秀逸で感動した。
味噌感を残しつつ、それ以外の味もしたがバカ舌なのでそれ以上のことがわからないのが残念。
とまあこんな感じで、モダンスペイン料理というのは、伝統を踏まえつつ、
美味しければ何でもよいの精神で各国の食材や技術をどしどし取り入れており、
大変面白く、美味しいのであった。