前置きが死ぬほど長いが、いずれスペインをはじめとした外国を旅行する際にはゲストハウスという業態の宿泊施設に泊まるとなにかと良いと思うよ、という話です。
先月の中頃に妻から、
「月末に息子ちゃんと泊りで鹿児島に行くことになったから留守番シクヨロ」
と言われた時の興奮を説明するのは難しい。ジョジョの以下のシーンが脳裏をよぎるくらいウキウキした。

家庭不和とかそういうのではないのだが、一泊二日独身貴族体験というのは心躍るものである。
貴重なひとり時間、どのように過ごしたものか。混迷を極めた自分会議の末、結論は下された。
久々にバックパッカーっぽい旅をしよう。ついでに自転車も乗り倒そう。
妻子出奔当日、ナイフ、ランプ鞄につめこんだ本職は西鉄福岡駅に向けて走り出した。
自転車と特急列車に乗り込み、大牟田で降りる。そして、大牟田から自転車で阿蘇まで走る。これが今回の計画の骨子である。

大牟田から阿蘇までは実にいろいろなことがあったのだが、多すぎるので省略する。中間地点の菊池市で昼食に美味い地元のラーメン、ランチの締めに回転ずしをつまんだあたりまではよかったんだが、雨にもそれなりに降られるなど、天気が悪く、ハイライトになると思われた阿蘇の最高到達点の一つ、大観峯で全く景色が楽しめなず、辛さ9割、楽しさ1 割という往路であった。


そんなわけで、この度の白眉は久々に泊まったゲストハウス、ということになろうかと思われる。ものすごくよかったのよ。
ゲストハウス
ゲストハウスというのは相部屋に泊まるタイプの宿泊施設。相部屋なので当然宿泊費はホテルに比べるとかなり割安で、バックパッカーのような長期の旅行者や、時間と体力はあるが資金力のない若者旅行者に重宝されている。ヨーロッパや東南アジアでは定番の業態であり、普通に日本で暮らしていると馴染みが薄いと思われるが、あるにはある。本職も若かりし日の一人旅はこのタイプの宿泊施設を愛用しており、今回のバックパッカーっぽい旅というテーマにも合致するので、久々に泊まってみたというわけである。9年ぶりくらいだろうか。
今回お邪魔したのは Aso Base という阿蘇駅徒歩二分のところにある築浅っぽい宿。以下のような四人部屋に宿泊した。お値段一拍 2800円。

財布に優しいのはもちろん、同じ部屋に泊まるワンナイト同居人はどんな感じだろうか、という久々のガチャ感に脳が喜んでいるのを感じた。まさか出張中のサラリーマン三人組が来るとは思わなかった。
こう書くと、ゲストハウスというのは安いだけが取り柄みたいに思われそうだが、これ以外の数多くの魅力がある。
ハウス なので充実した共有施設
ゲストハウス、というくらいなので、当然ながら寝室意外にもリビングだったりキッチン、浴室も完備で宿泊者は自由に使うことができる。アタリのゲストハウスだと、こういう共用施設がとても充実していてものすごくくつろげる。今回本職の泊まったゲストハウスも大変すばらしかった。
リビングは広々していてオシャレ、薪ストーブなんかあったりしてね。

キッチンも広々、調理器具も充実。地元の商店やらスーパーで買い物して自炊するのもいいだろう。

極めつけは、コタツ。近場の温泉での入浴後、冷えたビールをコタツで飲みながら何度読み返したかもはや覚えていない深夜特急をまた読み返す。至福。

また、この宿のオーナーはどこからどう見ても、元・気合の入った放浪者、という感じの人であったが、彼の思想性を丸々反映していると思われる蔵書も面白かった。

これはほんの一部だが(本だけに。jajaja)、先述の深夜特急、高野秀幸や米原万里、小松由佳といった本職がこよなく愛する紀行作家(?)の著作が大量に並ぶ一方、まったく旅関係ない格闘技ルポ『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』や、本職の好きな漫画家トップ 5 に入る小山ゆう先生(代表作『がんばれ元気』、『あずみ』、『おーい龍馬』)の著作もあり、勝手に盛り上がってしまった。
邂逅
そして、ゲストハウスの醍醐味はなんといっても他の旅人であろう。特に、こういうリビングスペースの快適性の高い宿だと共有スペースには常に誰かしらおり、その日のエピソードトークやこれまでの旅談義やらに花が咲くのが常である。
「知らない人に話しかけるなんて……」
と思うかもしれないし、本職も未だにそう思うが、話しかけて OK の人はそういうオーラを出しているし、逆にニコニコしながら「ぼく/私、全然ウェルカムっすよ」みたいな雰囲気を醸し出せば、誰かしらはかまってくれるであろう。まあ、ともかく、即席の雑談相手探しには困らない。そして、ゲストハウスで出会える人というのは往々にして普段の生活ではなかなか出会えないタイプであるのも面白い。もちろん、奇人・変人も一定数いるが、まあ、そうした遭遇も半年後には笑い話であろう。旅行中は良くも悪くも平常心ではいられないので、なんてことない雑談でも思いのほか印象深くなったりするのである。
あの夜もいろいろな人とお話しできて楽しかったのだが、とても感じのいいウェールズ人のご夫妻の旦那さんの方が、広島大学での講演を終えた後に九州旅行を楽しんでいる同業者であった、という展開は特に味わい深いものがあった。後々でちょっと調べてみたら論文の被引用数 1500 越えという猛者であることが発覚した。酔った勢いで、「同業者?つまりミーたちブラザーじゃん?」みたいなバカなことを言わなかった自分を褒めてやりたい。
まとめ
若者が長めに旅をするにあたり、一番ネックになるのは資金面だと思われる。この際、ゲストハウスにノリノリで泊まれるようだとこの問題がかなり解決されるので、ぜひぜひトライするといいよと思う次第。単に安い以上に快適だし、刺激的だしね。また、ヨーロッパなんかだと街の一等地にあることも多く便利でもある。まあ、いきなり外国、特に非アジアで相部屋というのもハードル高いかもしれんので、国内旅行の際にちょっと予行演習してみるのもいいだろう。というか、阿蘇、土地もこの宿もすごくよいのでお勧めです。

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