マドリードで一度しか夕飯を食べる機会がないとしたら、何を食べますか?

 

イタリアでの激闘を終えた本職は、次の学会の開催地、スペインはサラマンカに向かうべく、ミラノからマドリードに飛んだ。このサラマンカという街は、地図で見るとマドリードからまあまあ近いように見えるのだが、地味にアクセスが悪い。そのため、マドリードで一泊することにした。

マドリードのホテルにチェックインしたのが夕方六時過ぎ。冒頭の問いを自分自身に投げたのである。

本職、マドリードの郊外に合計で二年近く滞在していたこともあり、飲食についてはまあ、少々の土地勘がある。この街は食いしん坊大国の首都だけあって、素晴らしいバルもレストランも山ほどあるし、セネガル料理のような、日本でもほとんど見かけないような国の食事処だってある。

たった一度の夕飯をどこで食べるか?思考の迷宮入り待ったなし。

かと思われたが、意外にも即決できた。

まあ、一度しかないなら、Posada de la Villa だわな、と。

Posada de la Villa

マドリードのへそ、Plaza Mayor から徒歩 5 分未満のところに、Cava Baja という飲食の名店が犇めく通りがある。

Minube 様より

しっかりしたレストランもあれば、さっと食べて飲むためのバルもある。そしてそのいずれもレベルがたかいという、マドリードどころか、スペインでも有数の飲食の激戦区と言えよう。本職が深く愛する Posada de la Villa はこの通りのちょうど真ん中あたりに位置する。創業は何と 1642 年という老舗中の老舗である。

オーラ出てる……

Cocido など、マドリード、中央スペイン名物を幅広く抑えているこちらのお店であるが、やはりそれでも白眉は Cordero asado、ラムの丸焼きであろう。日本における寿司とかすきやき、焼肉にあたる、ハレの日のごちそうである。メニューには、二人分からとあるが、頼めば特に割増料金なしで一人前で焼いてくれる。ありがたい。

この巨大な石窯でじっくり焼かないと出せない味が存在する

ラムの大きな塊をオーブンでじっくり焼くので、まあ、時間はかかる。そんなわけで、前菜とかそういうものを食べたくなるのだが、そこはグッと我慢したい。ラムのボリュームが半端なく、前菜など食べようものならお残し必至であろう。というか、お通し的に、うまいパンとオリーブ、なぜかコロッケが出てくるのでそんなものをつまんだりワインを飲んでいればよいのである。

これから肉を大量に食べようという時のお通しがコロッケ。これがスペインという国

そんな感じで、夜風を浴びながら一杯やっていると肉がやってくる。

本職の写真の撮り方が下手過ぎていまいち伝わりにくい気もするのだが、まあ、ともかく大きい。肉が来たというワクワク感と、食べきれるかなという不安が入り混じる。いくつになっても、定期的にこういう気分は味わっていきたい。

また、シブいウエイターのおじさまが、フォークとスプーンで肉を切り、盛り付けてくれるこちらの演出もたまらない。

「えーっ、こんな巨大な肉が、スプーンとフォークだけで切り分けられるなんてぇっ!」

たのしすぎて、肉の食べ方をわかっていない日本人観光客風のリアクションを敢えてしたりもした。

お味であるが、四年ぶりということもあり、涙が出そうになったという。味付けは塩、白ワインくらいのシンプルなものなのだが、ほろほろになるまで焼いた肉に、皿の下にたまった肉汁をまぶしながら食べるのが本当に美味しいのよね。豚に比べるとラムって味にややフックが効いていると思うのだが、そのクセの部分がまた赤ワインとよくあうのだな。二千年をはるかに超える肉食の伝統のすごさというところか。

有料のデザートもあるが、サービスとしてこんな感じのも出してくれる

と、こんな感じで大満足のマドリード最後の晩餐であった。ただ、量がやはりすごかった。本職、未だにラーメン二郎を美味しくいただけるのだが、そんな本職でも満腹のその先を見た気がする。小食の人が一人で行くのはかなりきついと思われる。小食さん二人、ということなら、肉一人前、なんか軽めの料理一皿くらいがいいのではなかろうか。

お値段は、円安もあり、6,000 円程。安くはないが、旅行中に一度の勝負ディナー、勝負ランチとしてならいいのではないか。歴史ある建物で、プロのテーブルサービスも受けられるという付加価値もあるし、大満足が保証できるし。まあ、ヨーロッパのレストランって、ただ食事をするというだけでなく、劇やオペラを見に行く、みたいなところがあるので、そういう一大イベントとして位置づけていただければ。

腹ごなしに 2 km 程離れたホテルまで歩いて帰る。マドリードも中心部に名所が集中しているタイプの街なので、散歩も楽しい。

↑は大人気スペインドラマ、La casa de papel (ペーパーハウス)のシーズン、3-5 の舞台となった Banco de España。この建物を眺めながら、シーズン 5 前半のあのシーンで流れた名曲、 Grandola Vila Morena をきくと、頭の中で当該ドラマの名シーン集が自動で再生されるのでこちらもお勧めしたい。

By qsupe

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